北京で「パニックなし、科学を信じ、噂を広めない」と住宅ビルに横断幕北京で「パニックなし、科学を信じ、噂を広めない」と住宅ビルに横断幕 Photo:Kevin Frayer/gettyimages

新型肺炎で大ダメージ
生産活動の復活を目指す中国

 2月26日0時の時点で、中国以外で新型コロナウイルスの感染者が確認された国と地域は39に上り、感染者は合わせて2874人となっている。国や地域別で見れば、韓国が1146人で、中国に次いで感染者が一番多い国となっている。日本が865人、イタリアが322人、イランが95人、シンガポールが91人、香港が80人と続く。

 安倍晋三首相も同日、国内のスポーツ・文化イベントの開催を2週間自粛するよう要請した。強制力のない要請とはいえ、感染拡大の防止に対する日本政府の強い姿勢を示したように見える。

 一方、都市封鎖という究極の手段で、新型コロナウイルスの感染を阻止する作戦を全土で展開している中国では、新規感染者の継続的減少が続いているのを受けて、経済活動の正常化を一部ながら復活しようという動きが加速し始めた。

 2月23日、陝西省政府が生産・生活の正常的秩序を全面的に復活する実施意見書を配布して、コミュニティや村などの封鎖を解除し、これまでの交通と店舗の経営に対する厳しい制限も解いた。中国のその他の省・市・自治区でも3月に入れば、感染者の少ない地域については、「復工」(生産活動の復活)をさらに日常的な軌道に乗せようとしている。

 グローバル経済に組み込まれた今の中国では、海外との人的・物的交流が不可欠な基本条件となっている。これ以上の都市封鎖は、中国経済に致命的な打撃を与えてしまうというリスクを認識した上での判断と理解していい。

 こうした動きのなかで、韓国と日本における新型コロナウイルス感染者の増加は、中国で非常に警戒されている。中には、日本や韓国からの訪問客に対して、14日間の自宅での自主隔離が厳しく求められる地域も出ている。たとえば、山東省威海市文登区では、同区の中国共産党委員会が新型コロナウイルス肺炎感染症対策指導部の名義で、2月25日付の緊急通告を区内に出した。