韓国人締め出しの動き
世界各国に広がる

 世界各国は、韓国人や韓国から来た外国人の入国規制を広げている。

 24日現在、イスラエルやバーレーン、ヨルダンなど6カ国が入国禁止。英国、カザフスタンなど9カ国が別の場所で検査するなど、様々な入国制限措置を講じている。25日には香港が入境禁止措置を取り、台湾も14日間の義務隔離とした。米国も不要不急の韓国訪問を自制するよう国民に求めている。さらに日本も26日に、大邱と慶尚北道に滞在歴のある外国人の入国を拒否する対象に加える方針と伝えられている。

 特に、イスラエルは先月、聖地巡礼でイスラエルを訪問した韓国人一行から多くの陽性反応が出たことを重く受け止め、22日に韓国から到着した170人をそのまま韓国に送り返した。さらに同国は、短期滞在している韓国人を、イスラエル側が手配したチャーター機で帰国してほしいという要請を出した。またモーリシャスは、一部に発熱があるという理由で韓国人の新婚夫婦の入国を保留した上で、保護施設や病院などに隔離した。

 中国滞在外国人の入国禁止に一線を画すなど政府の対応が甘いといわれる中、各国の韓国人入国規制への対応の陣頭指揮を取るべき康京和外交部長官が、スイス・ジュネーブの国連人権委員会と軍縮会議に出席していることが批判されている。

 康長官は各国の外相と会い、「韓国国民が不利な待遇を受けないよう説得している」という。また、国連人権委員会における演説の中で「最近報告されているコロナ感染出身者に対する嫌悪および憎悪事件、差別的な出入国統制措置および恣意的な本国送還に対して深く懸念している」と述べた。さらに、患者急増の背景として新天地イエス教会があるとして政府の対応策を紹介した。

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 しかし、各国とも韓国の現状を憂慮して入国規制しているわけであり、康長官の言葉による説得で方針を変えるはずがない。ましてや韓国政府が新天地イエス教会に責任を押し付けても、各国がそれに納得するはずがない。あくまでも韓国政府が責任をもって有効な対策を取り、結果を出す以外に、現在の状況を改善する方法はない。韓国政府のこれまでの国内でのやり方は国際的には通用しないものだ。

 文政権がやっていることは、国内向けに努力していると見せかけるだけで、外交的成果は得られないし、ほとんど意味がない。外交は内政の延長でもある。内政がうまくいっていないときに外交で取り戻そうとしても限界があるのだ。

 文政権はまず国内の新型コロナウイルス対策をしっかりやることが基本である。康長官は言葉を弄(ろう)するよりも、入国拒否に遭い、困っている国民をいかに支援するかが役割ではないだろうか。

(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)