不安にかられてやみくもに新しい潮流に飛びつくのはよくありません。そうならないためには、自分の軸足をきちんと確立することが必要です。そして、その軸足となるのは「ミッション」と「バリュー」です。

 これらの言葉は近年、企業においてよく使われていますが、個人でも同じです。変化の激しい時代だからこそ、個人もなぜこの仕事をするのか、どんな価値を提供するのかという自分自身のミッションとバリューをよく考えておくことが大切です。

アップデートを怠ると
判断を誤る要因に

 昭和の時代にはよく見かけた暴力的な叱責による部下指導がパワハラとよばれるように、世の中のモラルや常識も時代によって変化します。こうした変化に気付かずアップデートを怠っていると、自分自身をリスクにさらすことになります。

 さまざまな知識のアップデートを怠っていると、いつの間にか自分の常識が古びていることがあり、判断を間違える元になりかねません。たとえば、歴史の分野で研究が進みいろいろなことが明らかになった結果、いまの教科書には「士農工商」も「鎖国」も掲載されていません。日々、常識は変わり続けているのです。

 また40代くらいになると、「最近の話」として10年前の出来事を持ち出してしまうようなことも起こりがちです。これも気を付けたほうがよいでしょう。

 このコラムで何度も主張していますが、自分自身のアップデートに有効なのは「アウェーの場」に足を運ぶことです。自分がよい立ち位置でいられる会社や職場から飛び出して、普段交流のないような人たちと交わることから、アップデートに必要な情報や感覚を得ていくのです。

 直接仕事と関係のない場所であっても、自分の興味や関心の高いテーマに関するコミュニティーに入っていったり、大学の社会人向け講座などを受けてみたりするのも一つの手です。同じ関心を持つ人たちとの交流はそれ自体、非常に楽しいものですし、入っていきやすくもあります。

 多様な属性の人たちと接することで、会社の閉じた人間関係とは異なるコミュニケーションの仕方をすることになりますし、世の中の風にあたることで今までとは別のアンテナが立ち、思わぬネットワークの広がりが生まれるかもしれません。

 何より40代に入った人が自覚しておくべきは、どんどんフットワークが重くなることです。人間は年を取り肉体が衰えると、脳が体に楽をさせようとします。フットワークの悪化は自然現象。早い人だと30代から始まるのですが、多くの人が自覚していません。

 自覚がなくても自然の摂理として「最近、フットワークが重くなっている」と認識し、やる気スイッチを自分で入れてアウェーに飛び込んでいく。それは結果として、自分の世界を広げ、人生を豊かにすることにもつながると思います。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)