昨年4月にホンダは、本田技術研究所の二輪R&Dセンターと本社二輪事業を統合し、本社二輪事業本部モノづくりセンターに一元化している。今回の四輪事業の統合によって、ホンダの“本家”でもあった本田技術研究所はホンダ本体に吸収・機能統合され、実質的な解体となる。

 ホンダがあえてこの聖域に踏み込んだのは、二輪事業以上に四輪事業におけるグローバル競争力、生産性の低下に加え、CASE対応の技術開発が迫られていることにある。

 この6月で6年目に入る八郷ホンダ体制はこの間、グローバルな生産過剰体制の見直しをはじめ、縮小後退路線が目立つ。「ホンダ改革」の名の下に一連の工場閉鎖などが発表された。

 八郷社長は、改革の総仕上げを急いでいるのであろう。

 ホンダは4月の組織変更発表とともに役員人事も発表した。そこで注目されたのが三部敏宏常務執行役員・本田技術研究所社長が専務執行役員に昇格し、6月の定時株主総会で取締役に選任されることだ。

 すなわち、来年6月のホンダ社長交代への布石が打たれたことになる。

新型コロナウイルスが
ホンダ経営を直撃する

 ホンダは先の第3四半期決算で、純利益が前年同期比22%減の4852億円にとどまった。決算会見で倉石誠司副社長COOは「新型コロナによる収益への影響は算定困難」としたが、この2月8日の会見以降、新型コロナウイルスの感染問題はさらに拡大している。

 今通期(2019年4月~20年3月)の連結純利益についても、第3四半期決算発表時に前期比3%減の5950億円としたが、中国工場からの部品調達サプライチェーンの分断で下ぶれすることになりそうだ。

 ホンダは中国・武漢市に3つの四輪車工場を持ち、ホンダの世界生産の1割を占める大拠点となっている。ホンダ系部品メーカーも多く現地進出している。新型コロナの感染は、中国では「ピークを過ぎた」と見られているものの、いまだ正式には終息の見通しが立っていないのが実情。ホンダの業績に与える影響は大きい。

 それでなくても、四輪事業の利益率の大幅な低下は、経営の最大課題となっている。昨年10~12月の3カ月間の四輪事業の売上高営業利益率は1.3%にとどまっている。二輪事業が14.1%、金融サービス事業が10.4%であることに比べると収益性があまりにも低い。

 実際、ホンダの最近の業績は、主力の四輪事業の収益悪化を二輪事業でフォローする構図となっており、二輪事業がなかったらホンダは赤字経営に転落してしまっている。