特集『新・村上ファンドの正体』(全5回)の#03では、村上世彰氏の独占インタビューをお届けする。近年の社会貢献や教育活動、海外不動産への投資、そしてニッポン放送株を巡るインサイダー取引事件後、日本株への投資を再開した理由を明かし、業界再編への強いこだわりを示した。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
「お金の怖さを知ってほしい」
村上氏が若者に伝えたい教訓とは
「投資を通じてお金の怖さを知ってもらいたい。僕の周りには株で破産した人もいる。投資とは何かを真剣に考え、今回の経験をいろいろな形でこれからの人生に生かしてほしい」
3月6日、東京・代々木駅に近いビルの「教室」で、村上世彰氏は高校生たちにそう語り掛けていた。
村上氏は昨年5月、角川ドワンゴ学園が運営する通信制高校「N高等学校」(N高)が設立した「N高投資部」の特別顧問に就任した。
村上氏が設立した村上財団がバックアップし、高校生の部員約50人に20万円ずつ無償提供する。部員はそれを原資として実際に株式投資や企業訪問を行い、「生きた金融教育」を実践する試みだ。
この日は新型コロナウイルスの影響でオンライン経由の授業となったが、モニター越しに投資の成果や感想を口にする部員の声に、村上氏は熱心に耳を傾けていた。
「どのくらい長期的な目線で銘柄を持っていればいいですか」。そんな部員の質問に対し、「僕の場合は5年でも10年でも持っています。いつ、どういうふうに動くかは結構考えていて、株でも不動産でも全ては期待値で見ます」と、投資に対する自らの考えを披歴する場面もあった。