新・村上ファンドの正体#5
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新・村上ファンドの特徴の一つが、村上世彰氏の家族や側近、関連する法人で対象企業の株式を分散保有し、時にグループ内で保有者を目まぐるしく変更する手法だ。こうした投資ビークルは少なくとも50以上に上るとされる。特集『新・村上ファンドの正体』(全5回)の最終回では、謎に包まれた実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

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新・村上ファンドの面々

 村上世彰氏は、3月6日に行ったダイヤモンド編集部のインタビューで、日本株への投資については「どちらかというと絢がやっている」と説明している(本特集『新・村上ファンドの正体』#03参照)。

 野村(旧姓村上)絢氏は村上氏の長女で、慶應義塾大学法学部卒業後、モルガン・スタンレーMUFG証券勤務を経て、現在は村上氏が創設した一般財団法人村上財団の代表理事などを務める。

 村上氏は学生時代、投資家だった父(故人)の「かばん持ち」として投資先企業を訪ね歩いた経験を持ち、その父から「投資の哲学や経験だけでなく、大切な人脈などいろいろなものを与えられた」と自著『生涯投資家』で述べている。

 同じことを自身の子にも伝えようとしているのか、村上氏はたびたび、投資先企業幹部との面談に絢氏を連れて臨んでいる。だが、対応した幹部によれば「ほとんど村上氏だけが、マシンガンのように一方的に喋っていた」。

 村上氏自身、インタビューで「業界再編は僕の一番得意な分野なので、当然のことながらアドバイスもするし意見も言いますよ」と言明する。

 絢氏を後継者に育てる意向のようだが、再編絡みの案件となると、ついヒートアップして首を突っ込みたくなる性分らしい。そのため企業幹部からは常に「村上氏が投資を主導している」とみられている。

 2000年代の旧村上ファンド時代と異なり、実態をより分かりにくくしているのは、村上氏の名前が表に出ない形で、関係する複数の法人や個人がターゲット企業の株を買い集めている点だ。

レノやC&Iホールディングスなどが入居する東京・渋谷の雑居ビル
レノやC&Iホールディングスなどが入居する東京・渋谷の雑居ビル Photo by Takeshi Shigeishi