AO・推薦入試がここまでの存在になったのはなぜだろうか。一つは大学が、多様性を求めるようになったことが挙げられる。
もう一つの理由は大学の経営難だ。なにしろ、1992年をピークに日本の18歳人口は減り続け、09年ごろからいったん横ばいで推移してきたが、来年、21年ごろから再び減少局面に突入すると見られている。
そこで学生確保のため、一般入試よりも早い時期に、入学定員を確保でき、しかも、一部の大学では「名前さえ書けば入れる」と揶揄されるAO・推薦入試を積極的に実施しているというわけだ。
受験生の約8割が
「推薦入試を利用したい」
学生側にもAO・推薦に積極的になる事情がある。ランクを下げてでも浪人せずに現役で大学に行ける推薦入試を望む傾向がかなり強まっているのだ。ある調査では浪人のリスクがない推薦・AO入試を利用したがる受験生が8割近くに上っている(図2参照)。

この異常なほどの安全志向の背景には、入試制度改革がある。今年度の受験生は、来年度から新たな入試制度に切り替わることで“過去問”を勉強することができなくなるため、来年度の受験を避けようと極度な現役志向が強まったことが考えられる。
さらに、国の要請により首都圏の難関私立大が定員を厳格化したことで早慶上智・MARCHのレベルが上がり、ますます一般受験を避ける傾向が強まっている。
大学側の事情、生徒の気持ち、制度の変更、国の意図など、ありとあらゆるものが「AO・推薦増加」への追い風となっているのだ。
その結果、最新の20年度入学の一般入試で異変が起こった。