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コロナ感染拡大で需要は強制減

 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、ブラジルでも感染が確認され南極大陸を除く全ての大陸で新型コロナウイルスの感染者が確認された。米国でも市中感染が確認されている。コロナウイルスは高齢者以外が感染した場合の致死率はさほど高くないが、高齢者が感染した場合の致死率が高いため、各国も厳しい対応を選択しているようだ。暖かくなれば感染は収束するとの楽観論もある一方、真夏のブラジルや常夏のシンガポールでの感染拡大を考えるとその確証はない。

 これまで2020年1~3月期に新型コロナウイルス禍が終了し、2020年4~6月期からV字回復というシナリオを描いていたアナリストも多かったと思うが、それはコロナウイルスの感染拡大が中国にとどまり、その他の国への影響は限定されるという前提に基づくものである。

 言葉を換えると、今回の問題で大規模な感染拡大とそれに伴う経済活動の停止が起きないことが前提になっている。IMFも今回のウイルスの世界GDPへの影響を試算しているが、2020年のGDP成長は2019年を下回る可能性が高いと悲観的な見方を示しており、一部の投資銀行は、世界経済成長がリーマンショック発生時並みの+0.5%まで低下するとの見通しを発表している。リーマンショックは「金融危機」であり、金融政策や財政政策によって事態の収拾が可能だった。また、リーマンショック時はヒトやモノの移動は制限されていなかった。

 しかし、今回の新型コロナウイルスは感染拡大防止のためにヒトやモノの移動の制限をせざるを得ず、信用リスクに波及する可能性があるため、リーマンショックを超えるリスクになる可能性がある。