JAグループ内でも本編集部と同様の試算が行われており、減益額の大きさに戦慄した農協は、規模を追うだけの成長戦略なき合併に走っている。
凋落する農協と躍進する企業──。明暗は分かれた。いよいよ農業の主役交代が始まった。
担い手農家1600人が選ぶ
カリスマ農家、優良農協も
『週刊ダイヤモンド』3月21日号の第一特集は「儲かる農業2020 消えるJA」です。
今特集の目玉は、前述の独自試算に基づく「JA赤字危険度ランキング」だけではありません。
ダイヤモンド編集部は今特集のために「担い手農家アンケート」を実施。全国1600人の農家から回答を得ました。回答者は平均経営面積36.6ヘクタールの有力農家たちです。
この有力農家たちに、「支持する農協」や「理想とする農家」「役立つ農業ツール」などを評価してもらい、作成したオンリーワンのランキングが大きな目玉の一つです。
「役立つ農業ツール」のランキングでは、農産物の生産から販売までを一気通貫で支援することで農業界のプラットフォーマーの座を狙う企業の多くがランクインしました。こうした企業は、傘下のIT企業や小売企業をフル活用することで、JAグループが牛耳ってきた農業の「主役交代」を実現しようとしています。同ランキングは、アンケートに回答した有力農家たちに、主役交代の野望を抱く企業が浸透していることを浮き彫りにしました。
また、今特集でも定番となった「レジェンド(大規模)農家」ランキング、中小でも高収益を上げる「中小キラリ農家」ランキングを作成しました。いずれも、担い手農家アンケートの回答者から、ダイヤモンド編集部が独自の基準で選定した超有力農家です。特集では、農業ビジネスを展開する企業が提携のために殺到するレジェンド農家の凄みや、他産業から農業に参入して高収益モデルを確立した中小キラリ農家の儲ける秘訣もお届けします。
「JA大淘汰」とともに「農家の大淘汰」の時代もやってきそうです。今特集は、いよいよ始まった農業激変と、その後の「未来の農業」の姿をできるだけ克明に描き出しました。
(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)