検査を受けても真実が分かるとは限らない

 検査を受けて陰性だったとしても、自分が罹患していない証明にはならない。検査が行われたのが潜伏期間中だったかもしれないし、病院の待合室で罹患するかもしれないわけだから、陰性という検査の結果を受け取った時点で罹患していなかったとは必ずしもいえないのである。

 検査することで、検査前に1万分の1であった確率がわずかに低下することはあっても、ゼロにはならないから、結局安心はできないだろう。

 さらに問題なのは、検査して陽性だったとしても、罹患しているとは限らないこと。つまり、検査結果が間違っている可能性もあるからだ。100件に1件の割合で、検査結果が間違っているとすると何が起きるのか、具体的な数字で考えてみよう。

 1億人が検査を受けるとする。罹患者が1万人とすれば、9999万人は罹患していないが、そのうち100分の1である99.99万人も、誤って陽性の結果が出てしまうのだ。つまり、陽性の結果が出た人の中で、本当に罹患しているのはおよそ101人に1人の割合になる。

陽性だったら「検査してよかった」といえるか

 こうした中で、検査の結果が陽性だった人は、数週間の隔離を命じられるとする。本当は1万人しか患者がいないうえ、その過半は無症状か軽症のまま治癒するにもかかわらず、陽性の結果が出た101万人が隔離されたら、それは悲劇である。

 実際には罹患していないのに隔離される確率の方が、罹患していて隔離される確率よりも100倍高いとすれば、わざわざ「間違えて隔離されるため」に検査を受けるようなものだろう。

 しかも、隔離されているだけで、治療してもらえるわけではない。現在のところ、新型コロナウイルスを撃退する特効薬があるわけではなく、重症患者に点滴や人工呼吸をするといった治療が行われているにすぎない。

 そんなことなら、呼吸が苦しくなるなどの症状が出てから検査を受ければ十分であろう。症状のない人が、単に不安だからと検査を受けることは、メリットよりもリスクやデメリットの方がはるかに大きいのだから。