それでは、なぜ誰もが予測しようとするのでしょうか。
ブームや暴落は面白くて興奮するからです。予想を当ててウォール・ストリート・ジャーナルやテレビで人気者になりましょう。極端な予想をすれば、評判が上がります。誰もが注目します。ケーブルテレビの番組や専門家たちはそうして大きなお金を稼ぎ出しているのです。
しかし、まじめな投資家には、こんなものは邪魔な雑音にすぎません。うっかり耳を傾けたら、あなたのお金を危険にさらすことになりますし、正気でいられなくなります。
長期投資では
過去の実績が役に立つ!
過去の実績は役に立ちます。ただし、長い期間で見た場合に限ります。1900年からのダウ工業平均株価のチャートを見てください。株式市場はずっと上がり続けています。
それにははっきりした理由があります。私は、まず確実に、20年後の市場は今よりも高くなっていると断言できます。その10年後にはもっと高くなっていると、より大きな確信を持って言えます。これまでの120年間の実績がそれを支えています。
しかし、こう言うからといって、明日、明後日、あるいは1週間後や1ヵ後、さらには2、3年後にどうなるかは、何もわかりません。
問題はここです。はっきり言って、自分がどの段階にいるのかを知る方法はありません。
市場のタイミングをうまく捉えるには、二度成功する必要があります。高いところを当て、次に低くなるところを当てなければなりません。これを繰り返す必要があります。
世の中にいるのは、最初の売りタイミングを当てたものの、その後、市場が回復して、前のピークを超えてしまうのを黙って見ているという、かわいそうな投資家ばかりです。
市場のタイミングをつかもうとするのは、長期的に見ると、勝てないゲームです。確信を持ってそう言える簡単な事情があります。
もしそれをできる人がいたら、ウォーレン・バフェットよりも大金持ちになって、彼の倍くらいもてはやされているはずです。
能力があれば、利益を生み出せます。能力があるなら、市場は魅力的に思えるのです。市場を読むことができるという専門家が登場するのも同じ理由です。
しかし、それは誰にもできません。正確に言えば、役に立つと言えるほど、コンスタントに正しい判断をすることは誰にもできません。サンタクロースがいると信じるほうがましです。ユニコーンを育てるほうがよほど現実的に思えます。