首都圏「中学受験」、2020年は「富裕層の受け皿」校の人気急上昇都心の学校にはない広々としたキャンパスで学生生活を送れる共立女子第二(東京・八王子市)。併願校は大妻多摩や穎明館、日大三・明大中野八王子・多摩大聖ヶ丘といった付属校など多摩エリアの学校が上位に来ており、受験生の8割は多摩っ子だ 写真提供:共立女子第二中学校高等学校

熱望組もレベルアップに貢献

 2020年入試では男女の別学校が志願者を伸ばしている。神奈川の洗足学園(川崎市高津区)は横浜女子御三家に並ぶ進学実績を誇るほどの存在となったが、複数志願者も1人と数える実受験者数が960人とここ4年間で最多だった。のべ志願者数は1703人で19年より233人も増えている。19年から受験料の複数回割引を廃止してもこの勢いで、3回の入試すべてに出願という「洗足熱望組」も前年より70人近く増加という大人気ぶりである。採点する先生が「受験生のレベルがさらに高くなったことが、答案からも実感できる入試でした」と感慨を漏らすほどだった。

 この洗足の人気を支えている1つの要因が、前回連載のかえつ有明でもうかがえた帰国生の存在である。20年はこれまで最多の232人が出願している。ちなみに、洗足の合格を辞退した生徒で多く見られたのが豊島岡女子学園(東京・豊島区)や女子学院(東京・千代田区)の受験生だったという。東急田園都市線沿線の洗足は、こうした東京の難関校とも併願しやすい。

 「このところの傾向として、川崎や東京方面からの受験生が増えています」というのは捜真女学校(横浜市神奈川区)。横浜駅にも近く、地の利がいい。この学校でも、受験当日の保護者控室で高3生が学校に関する質問に答えており、在校生からも自分が高3になったら入試の手伝いをしたいという志願者が多くいるようだ。伝統校らしく、卒業生の保護者から贈られた鉢植えの花を毎年、教室や廊下に飾っている。これも受験生の保護者に好評で、こうして伝統は受け継がれていくのだろう。

 郊外にある学校の利点の1つとして、広々とした校地でのびのびと学校生活が送れる点を挙げることができるだろう。東京・八王子市にある共立女子第二は、まさにそのようなタイプの学校だ。キャンパス内には約160台分も駐車スペースがある。インフルエンザや花粉が入試期間に飛び交っていたこともあり、自家用車で訪れる受験生も多かった。

 共立女子第二も20年入試は好調で、実受験者数が前年比+17%の223人となっている。特に、2回目の午後入試の志願者が3ケタを回復した。また、適性検査型入試の出願者増は近隣の南多摩と立川国際という都立中等教育学校との併願が多いことの反映でもあり、20年入試のトレンドを反映しているといえる。

 「複数の成績上位者(奨学生を含む)も合格発表の翌日までに入学手続きを済ませており、単なる偏差値輪切りによる学校選びをしない受験生も確実に増えていると思われる」(共立女子第二)というように、変化の兆しも現れてきているようだ。