縦割り組織から
アジャイルに動ける組織へと変革を

 任期が短く陣頭指揮の時間が限られている上に、更なる不都合がある。縦割り組織だ。

 多くの大企業が、デジタルトランスフォーメーションに着手するにあたりDX部やDI(デジタルイノベーション)部といった部門、あるいはCDO(Chief Digital Officer)といった役職を設けるが、私からすると摩訶不思議である。デジタルはアナログの対にあたる言葉だが、もしCDOを設けるのであれば、CAO(Chief Analog Officer)とは一体誰だろうか?デジタルでないものなど限りなくゼロに等しい昨今、CEOその人がCDOでなければならない。いわんや事業責任を持っていないようなCDOの言うことを誰が聞くのだろうか?

 DX部やDI部を設けることで、全関係部署との調整に時間がかかり、実行にはなかなか移されず、DXは絵に描いた餅として終わってしまうのだ。ときには頓挫した責任を、一人の担当者や関与した外部機関に押し付ける場合もあり、結果として、実行されることのない企画が提案され続けたり、検討だけが繰り返されたりする。これでは変革が遅々として進まないのも無理はない。

 (こういった観点から、私はCDOという役職は過渡期的なものだと考えている。もし数年後にまだCDOという役職が残っている企業があれば、自ら「うちはデジタル化が遅れています」と宣伝しているようなものだろう)

 どんな大企業であっても、始まりは単一事業のベンチャーであり、創業期には縦割り組織は存在しなかったはずだ。企業が大きくなるにつれて組織・機能・役割が段々と細分化され、縦割り化が進み、前述の弊害が発生する。そのため、こういった大企業が再度アジャイルに動ける組織へと変革することが必要となってきている。BCGではこのための取り組みを「Agile@Scale」と呼んでおり、オランダの大手銀行INGなどの大手金融機関がこの手法を取り入れ、アジャイルへの変革を成功させ、成果をあげている。