新型コロナでSNS利用急増、広告収入は期待薄
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――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 新型コロナウイルスの感染拡大でフェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用は急増したかもしれないが、広告収入はこの勢いに続きそうにない。

 感染拡大を向けて世界的に活動が抑制される中、家から出られなくなった人々はSNSを利用する頻度がこれまでよりはるかに高まっている。友人や家族と連絡を取り合ったり、ニュースをチェックしたり、あるいはトイレットペーパーを入手する手掛かりを共有するためだ。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は先日の電話会見で、このところのトラフィック急増は大みそかに目にする水準を「大きく上回る」と指摘。「メルトダウンを確実に回避する」ため、インフラ面の必要性を把握することに努めていると述べた。

 だが、トラフィックが急増しても、世界的なリセッション(景気後退)で広告予算が激減すれば、フェイスブックも同業他社も影響は免れない。旅行業界など一部セクターは既に、旅行の延期やキャンセルを受け、マーケティング費用を削減している(バーンスタインのマーク・シュムリク氏の推計では、フェイスブックの総売上高のうち旅行関連の広告が約6%を占める)。これはエンターテインメント関連のマーケティングにも言えることで、感染流行を受けた政府の指示により、コンサートや映画館がほとんど中止・閉鎖されている。

 小売りや自動車セクターへの打撃も大きく、店舗や工場が閉鎖されている。ロバート・W・ベアードのコリン・セバスチャン氏によると、両セクター合わせた広告支出はデジタル広告市場全体の約3分の1を占めている。フェイスブックや、より小規模な同業他社にとっては、中小事業主もソーシャルメディア広告への寄与度が大きい。地域ビジネスのレビューサイトを運営する米イェルプは19日、市場動向を巡る不確実性の高まりを理由に、1-3月期(第1四半期)と通期の業績予想を正式に取り下げた。

 一方、ウォール街の予想はほとんど変わっていない。ファクトセットによると、フェイスブックの2020年売上高を巡るコンセンサス予想は、ここ1カ月で1%未満の下方修正にとどまる。ツイッターやピンタレスト、スナップの通期売上高予想も、それぞれわずか1%引き下げられただけだ。この間、市場では4社いずれも株価が急落しているが、より多くのアナリストが予想を厳しく見直せば一段安となる恐れがある。

 その上、往々にしてSNSが拡散の一端を担いがちな誤情報や有害なコンテンツが、感染拡大に伴って再び増加するリスクもある。ただ、規制当局のさらなる締め付けは当面、棚上げになるかもしれない。ピボタル・リサーチの広告アナリスト、マイケル・レビン氏はリポートでこう指摘している。「政府は目下、より大きな懸念事項を抱えていると思われる」

(The Wall Street Journal/Dan Gallagher)