多くの人とカネが動くと
柔軟さは失われがち

 正直、驚いたが、不祥事を起こした企業から「うちの社長が出なくてもいい方法を教えてください」なんて腰を抜かすような相談も来るので、「それは失礼しました」と頭を下げた。そして後日、このプロモーションをスタートして、クレームが寄せられた場合の対応方針や回答例を提案させていただいた。

 しばらくして、そのプロモーションは炎上した。そこまで大きな騒ぎになるものではなかったが、当初の予定よりも早く打ち切られたのである。

 実はこのようなケースは、マーケティングやプロモーションの世界ではよくある。このタイミングで何を仕掛けて、バズらせて、メディアで拡散します、なんて感じでカッチリとスケジュールが引かれて、既に多くの人やカネが動いているので、簡単に方向転換ができない。カネや人をたくさん投入するというのは、それだけそのプロジェクトにかける「思い」が強くなるということだ。この「思い」が強くなればなるほど、「ここまできて簡単に変えられるか」とカチカチに路線が硬直化していくのだ。

「100日後に死ぬワニ」でも、これ同じことが起きていた可能性はないか。

 作者は自身のTwitterで「ワニの話しは自分1人で始めました。それから色んな人が付いてきてくれました。1人1人と話をして、自分なりにしっかり見極め、信じて、この人になら任せてみてもいいかな、と思った結果が『今』に繋がっています」と述べている。

 この作品に魅力を感じた多くの人が集まって、最終回後にビジネス展開をするというプロジェクトが動き出した。それが作品の人気の高まりとともに膨張した。もしかしたら、その集まった人たちの中には、「ここまで大掛かりになると叩かれるかもな」とリスクを想定した人もいたかもしれない。しかし、先ほど申し上げたように、一度動き出した巨大プロジェクトは、誰かが問題を指摘をしたくらいでは止まるものではないのだ。