持ち帰り客7割のKFCは2月の売上高がプラス
ただ、いきなり!ステーキの既存店の客数の減少は、18年11月から16カ月連続で続いている。20年2月の既存店売上高は前年同月比38.7%減と苦しい数字だが、30%以上のダウンは19年8月以降7カ月連続だ。
ペッパーFSは不調の原因について新型コロナによる外部要因であると強調しているものの、あるアナリストは「新型コロナの感染拡大以前からペッパーFSはキャッシュの流出が続いており、危機的状況。水面下で出資者を探していると聞くが、思うように進んでいないもよう」とあきれる。
一方、厳しい環境の外食産業の中でも、底力を発揮しているのがファストフード業態だ。
とりわけ好調をキープしているのが、「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」を運営する日本KFCホールディングス(HD)。外食各社が新型コロナの感染拡大を2月の業績不振の理由にする中、KFCの2月の既存店売上高は前年同月比13%増と絶好調だ。
KFCはもともと持ち帰り客の比率が約7割と、テークアウトに強かった。加えて最近は、500円ランチの導入や「今日、ケンタッキーにしない?」とのフレーズをテレビCMで打ち出し、日常使いの訴求を続けたことで、自粛ムードであっても抵抗感なく利用されていることがうかがえる。
日本KFCHDの近藤正樹社長は「競合はファストフードだけでなく、コンビニとスーパーも入る」と日頃から強調。競争軸を外食に限定せず、テークアウト需要を満たす工夫を凝らしたことが、現在、存在感を発揮している一因だろう。
また、「マクドナルド」を展開する日本マクドナルドHDも20年2月まで、51カ月連続で既存店売上高が前年同月を上回るなど好調をキープしている。
マクドナルドもKFC同様、テークアウトやランチタイムを強みとする。ただ、弱点は夜間帯だった。てこ入れのため、2月から期間限定で投入した「ごはんバーガー」が、「夜はお米を食べたい」というニーズを満たし大ヒット。当初は販売期間を5月中旬までとしていたが、在庫の不足により4月初旬に終了と大幅な短縮を決めた。
テークアウトやデリバリー需要を取り込もうと外食企業は必死だ。宅配代行サービスを手掛ける出前館の中村利江社長は、「店舗からの問い合わせが、現在、通常の3~4倍」と依頼が殺到する状況を明かす。ダイヤモンド編集部が19年12月に外食企業の経営者に対して行った調査では、4分の3がデリバリーに前向きと回答。新型コロナ感染症の終息の先行きが見えない中で、手を付けていなかった企業が慌てて準備している様子がうかがえる。
「日常使い」と「テークアウト、デリバリー」の両輪を回すことができた外食企業が、新型コロナとの闘いで生き残りそうだ。