帝国データバンクの調べによれば、2020年2月の上場外食企業の既存店売上高は、うるう年で営業日数が1日多かったにもかかわらず、5割を超える企業で前年同月を下回った。

 客離れが著しいのが、記念日の会食や接待で利用され、日常使いされない高価格帯の店だ。ディナーの最も安いコースが1万9800円の銀座うかい亭などを運営するうかいの2月の既存店売上高は、前年同月比11%減と大打撃を受けている。

 都内のとある高級レストランの担当者は、「中国で新型コロナ感染が広がりを見せ始めた1月中旬ごろから、予約のキャンセルが始まった。日を追うごとに状況は悪化しており、4月以降もキャンセルが止まらない」と苦悩の日々を明かす。

 インバウンド頼みの店舗も、街から外国人観光客が消え去った今、高価格帯の店舗と同様に厳しい状況に置かれている。

 そしていよいよ崖っぷちに立たされているのが、「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービス(FS)だ。3月25日、今後の事業継続が疑わしいと投資家に注意を促す、「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記」を19年12月期の有価証券報告書に記載すると発表した。

 ペッパーFSは厚切りステーキを気軽に立ち食いできる業態で一世を風靡したものの、年間200店ペースで新規出店という急拡大路線を取り、結果的に自社店舗同士で競合することになって失速。19年12月期の決算では、06年の上場以降で初めて営業赤字に陥っていた。現在はいきなり!ステーキを大量閉店し、「ペッパーランチ」などの他業態への転換を打ち出している。

 ペッパーFSは注記の理由について、「政府から新型コロナウイルス感染症に関連した対策の基本方針が公表され、それ以降消費者は外出などを控え、外食需要に重要な影響を与えている。20年3月以降、当社の来店客数は顕著に減少し、売上高が著しく減少している」としている。