オフィスチェア写真はイメージです Photo:PIXTA

生産性は多少は上がったが
賃金が下がった日本の“不思議”

 情報通信技術を核にデジタル経済化が進む中で、先進国の中でも賃金の上がり方に差が出てきている。

 デジタル先進国である米国と日本を比較すると、米国の1人当たりの実質雇用者報酬は、95年(=100)に比べて、2016年には米国は約36%増と賃金が大きく上昇しているのに、日本はむしろ緩やかに低下している(図表1)。

 この差はどうして起きたのか。賃金が増えないのは生産性がほとんど上がっていないことと関係がある。

 賃金の増減の要因を米国と日本で比較するとする(図表2)と、米国の方が、労働分配率が低下しているものの、生産性が大きく上昇しているため、賃金が上昇している。

 注目すべきは、生産性上昇と賃金上昇がほぼ同じスピードであることだ。