「天災被害」が襲う、倒産増加の悲劇
中小企業がさまざまなリスク恐慌に震えている。帝国データバンクの調査によると、3月の景気動向指数(DI)は32.5(前月比6.2ポイント減)となり、6カ月連続で悪化した。これは2014年4月(同4.2ポイント減)を超える過去最大の下落幅となり、大きなインパクトをもたらした。消費増税や暖冬傾向の継続、金融市場の大幅な変動に加え、新型コロナウイルスの影響が拡大するなど不確実性が高まり、今後も後退局面が続くとみられる。
こうした状況下、本稿では近年目立つ台風や大雨など「天災被害」を企業リスクの1つとして捉え、これら自然災害に端を発した企業倒産を分析。その傾向や要因を、事例を踏まえて紹介する。
2019年は「天候不順倒産」が倍増
大型台風や地震など、予測できない自然の猛威に見舞われることが多い日本。記憶にも新しい2019年の台風15号や19号のほか、2018年に広島県や岡山県などを襲った「西日本豪雨」など、大きい自然災害が毎年のように起こっている。
そして、これに呼応するように、天災被害を起因とする倒産=「天候不順倒産」(法的整理、負債1000万円以上が対象)は、2019年に35件発生し、前年(15件)から2倍以上に増加している。
この背景には2017・18年に記録的な大雨となった、「平成29年7月九州北部豪雨」「平成30年7月豪雨」の影響が大きい。この影響を最も受けた中国・九州地方の倒産は、35件のうち10件と全体の28.6%を占めている。