既に倒産件数は増え続けており、例えば、東京商工リサーチが発表した4月10日時点での新型コロナ関連の経営破綻は51件。新型コロナウイルスの感染拡大終息後のことなど考えている余裕などないはずである。

 しかも、ここで対象に挙げられている業種を含め、消費の激減という悪影響の根源、元凶は一に消費税増税である。増税もそのまま、貸付や一時凌ぎの給付金はその売上現象の実情に応じて配るものの、失われた粗利の補償はなしとは、政策の順番を完全に間違えた、愚策以外の何ものでもない。

 さらに、今回の新型コロナショックは世界的に広がっており、世界的な不況、第二次世界恐慌の様相をも呈し始めている。そうした中で、地域の産品の海外展開やインバウンド観光需要の獲得を補助する事業を入れたり、海外展開企業の事業の円滑化(888億円)を入れたり、打撃の度合いが極めて大きい、まさに甚大である中小零細企業にとって負担増にしかならないキャッシュレス決済の導入を支援する事業を入れたりするなど、常軌を逸しているとしか言いようがない。

 また、「リモート化等によるデジタルトランスフォーメーションの加速(1009億円)」、Edtechだの、チャット・テレビ電話・電話などのツールを用いた医師等への相談だの、デジタル商談プラットフォームだのと羅列してあるが、要はこれらのシステムを開発・販売している事業者の商売のためのものであることが透けて見える(税制優遇措置でも「テレワーク等のデジタル化投資の促進」が入っている。そんなに関連企業に阿りたいのか、乗せられているのか)。

 ちんまいものだが、まさに惨事便乗商法である。そんなものを緊急経済対策に盛り込む経済産業省の良識が疑われる。

農林水産省は必要な施策をチビチビ
総務省は地方財政の充実をもっと盛り込むべき

 農林水産省については、必要な施策をチビチビと、そして、安倍政権下で顕著になった、「プロモーション重視」という態度がモロに出ている。「需要が減退している農林水産物等の販売促進」に1400億円措置されているが、その名のとおり販促事業。国が買い入れて、貧困世帯を中心に配給するといった、一挙両得の社会政策とすることも考えられるところ、そうした発想にはならないということか。

 また外国人材、もとい移民労働力が不足するから国内人材でという本末転倒な措置もある。ならばこれを機に移民依存から脱却することを考えるべきだと思うが…。また同じことが、経営再建・維持のための資金繰り関係や、需要減退の影響の大きい畜産・酪農の事業継続の確保、野菜価格安定対策・漁業収入安定対策によるセーフティネットの確保といったところにもいえ、これを機に、国民の食の安定的確保、安心安全の担保のために、国費で農林水産業を支えるという、世界的に当たり前の方向に舵を切ればいいし、こうした措置はTPPや日米貿易協定等対策の趣旨もあるのであるから、そうした協定の執行停止を打ち出せばいいはずである。

 しかし、残念ながら、「新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を踏まえた輸出の維持・促進」という新型コロナショックとは関係のない摩訶不思議な事項まで入っている。優先すべきは食料品の輸出ではなく、国内需要を国産食材で満たすこと、危機的状況にあっても国民が食うに困らないようにすることである。

 今回の新型コロナショックを受けた輸出の停止で、一部の食料品について事欠くようになったという報道は、目立たないながらも散見されるようになってきている。本来であればそうしたことを事前に織り込んで食料の生産をしなければならないはずなのだが、どうしたことか日本の農政はその真逆を真っ直ぐ進んでしまっている。今回の新型コロナショックは、日本の農政を正常軌道に戻すいい機会だと思うのだが。