深刻な構造不況に直面する銀行業界。特に地方銀行の経営はにわかに厳しさを増している。銀行経営に詳しい高橋秀行・共立株式会社取締役会長が、全4回にわたり今後の地銀経営のあるべき姿を展望する本連載。第2回では、生き残りの分水嶺となる「RAF」の具体例を解説する。
地銀経営の可視化ツール「RAS」を
架空の地銀で具体的に検証した
連載の第1回「苦境の地方銀行、生き残りの分水嶺となる可視化ツール『RAF』とは」では、地銀改革の肝である「リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)」と、その内容を表した文章である「リスクアペタイト・ステートメント(RAS)」について説明しました。
今回の第2回では、地方銀行においてもRAFが有効活用できることを立証するために、私自身が複数の地方銀行のIR資料を読み込んで、架空のA銀行を想定してRASを作成しました。
RASの構造は、1stレイヤーはビジョン・ミッション、2ndレイヤーは経営基盤に対する基本方針と財務戦略・事業戦略等の中期的なリスクアペタイト方針、3rdレイヤーは単年度の方針という3層構造で表現しています。それでは、私が策定した架空のA銀行のRASのポイントを説明します。