今年6月、あおぞら銀行の新社長に谷川啓氏が就任した。地域金融機関向けのビジネスに長く従事してきた谷川氏に、コロナ禍における企業支援の方向性や、地方銀行が抱える経営課題について問うた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
――新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、企業が財務面の支援を銀行に仰いでいます。あおぞら銀行はどう対応していますか。
3月前半から「これはおかしい」という状況になった。私たちの取引先企業の数は少ないが、3月末までに全ての取引先を訪問し、何が起きていてどんなニーズがあるかを聞いて回った。
これまでの危機と比べて大きく違い、取引先サイドの対応のスピードが非常に速く、「まずはこれくらいの資金繰りが必要になる」という見積もりが出てきた。だからこそ3月末までに融資の計画を立てることができ、4月以降から計画に沿って融資を進め、6月半ばまでに実行された。
ここまでが第1フェーズであり、企業は早い段階で第2フェーズに移行している。もともと企業にどんな経営課題があるかは分かっていたが、それが(コロナで)顕在化したため、構造を変えていこうという動きが5~6月ごろから急ピッチで進んでいた。
第2フェーズでは、事業再編などのアドバイザリー業務の必要性が拡大している。ここで私たちの専門的な役割が出ており、こうした業務に対して積極的に取り組んでいるのが現状だ。
事業再編などのアドバイザリー業務は、どの金融機関も同じような機能を持っている。ただ他のメガバンクは、複数ある機能の中での選択肢の一つだが、私たちはこの分野に注力していくので、動き方に違いは出るだろう。
――企業の課題が、資金繰りから健全性に移行しつつあります。政府も資本性の資金を出す枠組みを整えましたが、あおぞら銀行はどんな対応策を考えていますか。