#13コロナで露呈、欧米との格差

銀行の未来の姿に光を当てる連載『銀行の近未来』。新型コロナウイルスの感染拡大による経済危機への対応として、みずほフィナンシャルグループは1兆円規模の投融資枠を設けた。どうやって与信判断をしていくか。またコロナ危機に直面して露呈した銀行の弱点は何か。アフターコロナの銀行の在り方を坂井辰史社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

みずほは1兆円規模の投融資枠を設定
コロナ後に生き残れる企業を見極める

――今年度は何に力を入れて取り組みますか。

 まずは新型コロナウイルスへの対応だ。これまで営業店を開き、資金繰りや決済の相談を受けてきたが、ここに注力する。今も顧客や従業員の感染リスクを抑えるために緊張感を持って取り組んでいるが、「これで終わり」とは当面ならない。

 この事業継続という観点で、守りをしっかり固める。また、マクロ経済がこれだけ傷めば(融資の焦げ付きに備える引当金など)与信関係費用が相応に出る。その覚悟を決めつつ、必要な資金供給ができるように私たち自身が倒れないようにする。そうでないと、前回の金融危機のときのように取引先企業に迷惑を掛けてしまう。

 だが、ただ守りを固め、コロナの前に戻るのを我慢して待つだけでは駄目だ。アフターコロナで世の中は大きく変動し、ある分野では変化が加速して、別の分野では脆弱さが露呈している。これらへの対応を怠ると生き残れない。

 長年の付き合いがある取引先企業も状況は同じで、コロナの前から課題を抱えていた企業は非常に厳しい状況に陥っている。そうではない企業でも、従来通りにはいかない部分がある。例えば飲食店では、テークアウトに力を入れるなど知恵を絞っている。このようにアフターコロナの社会でも通用する事業をつくらないといけない。