『週刊ダイヤモンド』4月25日号の第1特集は、「コロナで激変! 世界経済&投資術」です。新型コロナウイルスの猛威が止まりません。日本、米国、欧州と主要先進国の経済は急減速。マーケットでは株や原油、金などの乱高下が続いています。危機の長期化によって大恐慌が来るのか、それとも超金融緩和と超財政支出によるバブル相場が到来するのか――。資産防衛にとって無視できない、世界経済と金融市場の現状を徹底取材しました。

コロナによる経済危機は
過去100年で最悪に

衝撃論文が暗示する「コロナ不況の長期化」、危機に必要な投資戦略とはPhoto:PIXTA

 グレート・ロックダウン――国際通貨基金(IMF)は新型コロナウイルスの感染拡大による世界不況をこう名付けた。今回の不況は、2008年からの世界金融危機(グレート・リセッション)を超え、1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)以来、最悪の景気後退局面となりそうだという。ウイルスの感染力、毒性はもちろん怖い。だが世界の経済を瀕死状態にしている直接的な要因は、各国政府が行う経済活動の抑制だ。IMFは一連の経済活動の抑制を「大封鎖」と表現している。

 日本の緊急事態宣言による経済活動の抑制も、大封鎖のひとつだ。安倍晋三首相は16日、緊急事態宣言の対象を全国に広げると発表した。全国の飲食業や旅行業、交通産業などが大きな痛手を被るのは必至。また海外でも各国がそれぞれ大封鎖をしているため、製造業では部品の供給網(サプライチェーン)にも大きな支障が生じ、工業生産は大きく停滞する。これらにより今年、多数の企業の経営破綻や従業員のリストラが生じそうだ。

衝撃論文が暗示する「コロナ不況の長期化」、危機に必要な投資戦略とはMFは世界金融危機より今回のコロナ危機での落ち込みが深いと予測 出所:IMFのブログ

 このままでは、ウイルスによってではなく、経済大封鎖で人が死ぬ。そう連想する人は、企業のマネジメント層にも従業員層にも少なくないだろう。「人命か経済か」の二者択一で人命を選べば、長期的には人を飢えさせて殺してしまう。そんな懸念だ。

 ところがこの連想に真っ向から対立する論文が米国で発表され、米国内外の政策立案者やエコノミストの間で静かな議論を呼んでいる。