新型コロナウイルス感染の検査方法として、現在はPCR検査が主流だが、より簡単な方法である抗体検査の開発が進みつつある。大規模な抗体検査を行って、免疫(抗体)を持つ人を探し出せば、パンデミックが終息する以前でも、積極的に働いてもらえるという考え方が欧米にはあるようだ。大規模抗体検査の意義や問題点について、医師(日本内科学会総合内科専門医)であり、かつビジネススクールで医療経営を教える筆者が、解説する。(中央大学大学院戦略経営研究科教授、医師 真野俊樹)
緊急事態宣言は
いつ解除するかが難しい
4月8日、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための「緊急事態宣言」が発出された。それ以前から日本医師会や東京都医師会をはじめ多くの人が要望しており、ようやく発令されたというところだろうか。
筆者は政府の肩を持つものではないが、逡巡した気持ちもわからないではない。それは3月に一斉休校を全国一律で行ってしまい、政権のイメージを損ねたトラウマもあるであろうことは、想像に難くないからだ。
実際、春休みの時期になっても、政府は一斉休校の継続か撤廃か(この状況で全国一律に撤廃することは当然できないが)について、明確に示すことができなかった。
何が言いたいかというと、「一度、規制をしたら、それを解除するのは非常に難しい」ということだ。