資本家は他人の才能と時間を使う
このような働き方と対極にあるのが、「資本家」です。完全な資本家は資本、すなわちお金を出して、他の人を働かせます。「オーナー経営者」もそれに近いのですが、この場合は自分で資本を出しながら、自らも会社の経営に参画しているので、完全な資本家とはやや立ち位置が異なります。
とはいえ、完全な資本家もオーナー経営者も、他人を働かせるという点では同じです。ちょっと悪い言い方になってしまいますが、資本家は他人の才能と時間を使う立場であるということです。そして、資本家にただひたすらこき使われるのが、労働者1.0というわけです。
もっと言うと、労働者1.0の関心事は自分の身の周りで起きた事象に限られます。それはそうですよね。労働者1.0に求められる能力といえば、言われたことに対して文句を言わずにこなし、与えられた課題に対する正解を探して求める力でしかないからです。結果、自分の身に備わる能力といえば、自分が今、属している職場で求められるものに限定されます。
そんな生活を続けていたら、潰しの利かない人間になってしまいます。会社からリストラされたら、生きていく術がありません。他の会社に転職しようとしても困難を極めます。少なくとも、転職することによってキャリアアップするなどということには、まずならないでしょう。
これに対して資本家は、自分で課題を見つけ、変革する力を持っています。その力を発揮するため、物事を構想する力に加えて、産業構造を理解し、広く世界を知ろうとする意欲を常に持っています。