住宅の地図が変われば
「負動産化」の条件も変わる

 不動産を巡る動きは不透明感を増している。実際、不動産市場の先行指標ともいわれる東証REIT指数はコロナ流行後大きく下げており、数多くの商業ビルを持つ地主がテナントから賃料の減額交渉を迫られているなど、地価相場は危うさを見せる。

 一方で、「住宅については、在宅勤務などの広がりによって、駅徒歩5分以内なら資産性が高い、逆に都心部から離れていると資産性が低いといった従来の認識が変化し、住宅相場の『地図』が変わる可能性がある」と、オラガ総研の牧野知弘代表は指摘する。

 コロナショックがもたらす不動産市場の変化は、実は直近の相続だけではなく、将来的には多くの庶民が抱える「家」の悩みにも影響を与えそうだ。

 例えば、資産価値があると思っていた実家が想定以上に売りづらくなっていたことで「負動産」化する、あるいは、郊外にある実家であっても、貸すといった有効活用で空き家化を防ぐことができるようになる、などである。

 このように、誰しも想像し得なかった突然のコロナショックによって、「家」を取り巻く相続の環境が一変してしまった。しかし、そもそもコロナショックの以前から、相続や家については早めに知識を備えないといけない問題だった。特に、昨年から一部施行が始まっている改正相続法には、知らないと危ない落とし穴なども存在する。