在宅勤務が続く中、業務の目標設定ができていない企業が多い。「緊急事態に目標設定などできない」といった反論を山ほど受けるが、目標設定をしないままメンバーを放置していたとすれば、大問題だ。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
臨時の在宅勤務が長期化へ
企業が抱える「目標設定」の課題
新型コロナウイルスの感染拡大により、全国に発令された緊急事態宣言は、5月6日が期限とされているが、延長される可能性がある。影響は長期化するのではないかという見方が日を追うごとに強まっている。
企業における在宅勤務の期間も、「当面の間」とされているところが多いようだが、いつ在宅勤務が解除されるかの見通しが立たず、長引くことを覚悟する段階に入ったように思われる。
当初は政府による3月の一斉休校要請が解除される春休み明けには、通常勤務になるのではないかと思っていた人も少なくないだろう。早晩、通常勤務に戻る可能性もあることを期待して、臨時的な措置として在宅勤務をスタートした企業も多い。中には、PCを貸与することも、実施業務を明確に定めることもせず、在宅勤務を始めた企業もある。
また、それなりの準備を整えていたとしても、遂行業務の目標設定をしないで在宅勤務をスタートした企業がほとんどだ。時はあたかも年度の境目だ。期初の目標設定をしなければならない時期だが、在宅勤務による影響を計り尽くせず、目標設定期間を延期したところもある。
しかし、在宅勤務の長期化が見込まれる中で、臨時的な取り扱いを継続することは、もはや限界だ。円滑な業務遂行のためにも、年度初めの目標設定をしなければならない。また、すでに目標を設定した場合も、感染拡大でビジネスを取り巻く状況が大きく変わっているため、目標を修正する必要がある。
このように申し上げると、「現在のような状況下では目標を設定できない」という反論に山ほど接する。