緊急時こそ
「ボトムアップ」で目標設定を
目標設定期間の短縮や設定目標の修正は、手間のかかることだ。この話に行き着くと、必ずと言っていいほど出てくる意見が、「このような緊急事態に、目標設定の手間や時間を増やすことはできない。ほかに実施すべきことが山ほどある」というものだ。このような意見を持っている人に聞くと、ほとんどの人が、「目標設定は上司がしなければならない」と思い込んでいることがわかった。
私は、声を大にして言いたい。部下に目標設定させればよいのだ。その上で修正の必要があれば、そのときだけ上司が労力を費やせばよい。あるいは、3カ月単位の目標は上司が設定し、1カ月単位の目標は部下が設定するという方法もある。
緊急事態にはトップダウンのリーダーシップが必要だと思われがちだが、緊急事態だからこそ、ボトムアップのリーダーシップが不可欠だ。リーダーが思いもしなかった知恵や工夫が、それぞれ環境の異なる在宅勤務の状況から生まれてくるからだ。
私が頻繁に主催している、Zoomなどネット会議システムによる双方向演習プログラムの参加者には、「在宅勤務で、従来に比べれば時間に余裕があるので参加した」「刺激や交流を求めて参加した」という人が多い。
上司が思っている以上に、在宅勤務中の部下は時間を持て余していたり、交流を求めていたりするかもしれない。目標を設定しないまま、いたずらに時間を経過させて、放任しておくことだけは避けなければならない。