ニューヨークの7番街Photo:Reuters

――筆者のジェラルド・ベーカーはWSJ前編集局長で、現在はエディター・アット・ラージ

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 米国新型コロナウイルス危機は多くの点で、ニューヨーク州の公衆衛生の危機だと言っても過言ではない。全米で苦しんでいる患者を軽視しているわけでは全くないが、米国が見舞われている現在の惨状で、ニューヨーク州が突出している点を誇張し過ぎるということはない。

 ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)の最新推計によると、米国ではコロナによる死者が8月までに6万7000人に上ると予測されている。ニューヨーク州の死者数は2万3000人以上と、その3分の1を占めるとみられている。同州の人口は全米の6%未満であるにもかかわらずだ。

 ニューヨーク市(人口800万人)だけで、同州の死者数の50~60%を占めており、全米でもおそらく25%程度を占める。現在のペースでいけば、ニューヨーク市の死者数は最終的に1万5000人を突破する可能性がある(同市は病院以外で死亡した数千人のコロナ感染未確認の患者も死者数に含めているため最新データは不確かだ)