“ダイバーシティ”というキーワードからも
LGBTが注目されている

 その後、平成24年(2012年)には電通ダイバーシティ・ラボがLGBT層の人口比率は5.2%という調査結果を公表したことで、LGBTをひとつの消費市場として認知する動きが起こった。

 翌年の平成25年(2013年)には、東京オリンピック&パラリンピックの開催(2021年)が決まり、多様性を示す「ダイバーシティ」という言葉が耳目に触れるようになった。

 もともと「ダイバーシティ」は、企業社会における女性活躍を起点にしているが、いまやその対象は、外国人・障がい者・高齢者……そして、LGBTへと拡がっている。包摂を意味する「インクルージョン」と組み合わせた言葉が「ダイバーシティ&インクルージョン」であり、その概念とともに、社会のLGBTへの注目度も高まっているわけだ。

先生・保護者が知っておきたい「LGBTと学校」のこと毎年ゴールデンウィークに開催されている「東京レインボープライド」。今年2020年は新型コロナウイルス感染の影響でオンラインのみでの開催となった PHOTO:Oriijin

 さらに、時流に並行して、LGBT当事者や当事者支援の団体などによる活動も目立つようになった。平成27年(2015年)には渋谷区(東京都)で全国の自治体で初となる「パートナーシップ条例」が制定され、同性カップルに対して“結婚に相当する関係と認める書類”を発行する制度が始まった。同じ平成27年には世田谷区(東京都)でも「パートナーシップ宣誓」が導入され、現在に至るまで、同様の制度に取り組む自治体が全国で増え続けている。

 時代が平成から令和になり、「ダイバーシティ&インクルージョン」の姿勢を掲げる企業や自治体は今後ますます顕在化していくだろう。LGBTに関して言えば、社内制度を当事者が利用しやすいように改訂したり、顧客サービスの幅を広げていく企業が目立っていくにちがいない。LGBTを対象にした就活イベントに参加するなど、企業や自治体は、さまざまな施策に取り組む姿勢をアピールしていくはずだ。

 では、学校はLGBTの当事者(子ども)とどう向き合っていくべきか。