新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は企業決算や経済成長を巡る予想を根底から狂わせた。金融市場の見通しはあまりに不透明になり、まるで「無視界飛行」だという投資家もいる。通常であれば投資家の多くは、株価を見極める上で利益予想を重要指標とみなし、経済の健全性の目安として国内総生産(GDP)などの予想に目を向ける。今やパンデミックが旅行業界から製造業、小売業界までを揺るがす中、市場の唯一の共通認識は、こうした経済指標が落ち込む運命にあるということだ。それでも米国株は上昇を続け、S&P500種指数は3月につけた安値から27%持ち直した。資産運用担当者は米連邦準備制度理事会(FRB)の刺激策が相場の反発を後押ししたと指摘するが、株高と経済の視界不良というかい離は、相場上昇に不穏な空気を添えている。