その病気の正体は命を脅かすほど危険なものでしたその病気の正体は命を脅かすほど危険なものでした Photo:PIXTA

下腹の奥に広がる“激鈍痛”
「急性胃腸炎」と診断された

「なんかおかしいぞ、下痢でもしたのかな」

 夏の終わりのある朝、タケシさん(仮名・53歳)は下腹部に違和感を覚えた。へそ下10cmあたりの奥のほうが、痛いというよりは圧迫されているような、重くて苦しい感じがした。だが、特につらくはなかったのでそのまま出勤すると、時間の経過とともに、腹のなかが「腫れて」いるように苦しくなり、やがて鈍く痛みだした。指で押すと「うぅ」という呻き声が漏れるほど痛かった。腹を下したときとは明らかに違う、経験したことのない痛み。

(もしかして前立腺の病気かも)

 頭をよぎったのは父親も祖父も患った、前立腺の病気だった。我慢して、自分をだましだまし仕事を続けたが、ついに耐え難い痛みが下腹部全体に広がり、身体を折ってうずくまってしまった。刺すような痛みとは違う、重たく苦しいその痛みを、タケシさんは「激鈍痛」と呼ぶことにした。

 そして17時ごろ、脂汗を流しながら会社の近くにあるかかりつけ医を受診。

「激鈍痛なんです。下痢とか胃腸炎とか、これまで経験した症状とはぜんぜん違う痛みなんです」

 懸命に訴えたが、20年来の馴染みの医師の診断はありふれたものだった。