「ダメでした」だけで
終わらせないために

 続いて、客先で受注をもらえず「ダメでした」とだけ報告する部下を解きほぐすやり方です。

「どうしてお客さんからOKをもらえなかった?」
「値段が高いと言っていました」
「どこかと比べてうちが高いの? それとも予算がなかったの?」
「予算がないと言っていました」
「じゃあ予算はいくらだって?」
「それは聞いていません……」

 これも、今回の仕事の目的=受注をとることが理解できれば、伝書バトにならず、「どのくらいの値段だったら受注できるんだろう」と、自分が次にお客に聞くべきことが見えてくるはずです。

 こうした解きほぐしに時間をかけると共に、このような部下には、毎回仕事の指示を与える度に、意識的にその仕事の目的を伝え、自分の仕事は「作業をすること」ではなく、与えられた仕事の「結果を出す」ことだという仕事の大原則を伝えていかねばなりません。

必要なのは
部下との1日30分

 こうした上司との「解きほぐし」の時間が、与えられた仕事の目的を思い出させ、それを踏まえて取るべき行動はなんだったのかを考えるレッスンになるのです。

 1日30分で構いません。部下と対峙する時間を作ってください。解きほぐしの時間を通じて、結果を出すために自分で考える習慣を叩き込むのです。

 時間のかかることですが、今まで自分で考えて動くということを知らなかった彼らにとって、これは仕事で一人前になるための不可欠のプロセスであると言えます。解きほぐしはある意味、これからの時代の上司に与えられた新しいミッションだと認識していただいたほうがいいかもしれません。

 そして、もし彼らが自分で考えて行動できたときは、それをきちんと評価してあげてください。

「なるほど、それで取引先の再来週の予定を聞いて、リスケジュールできたんだね」
「そうか、ヒアリングしたら、値段じゃなくてサービス内容に不安があったとわかったのか。だから提案書を作り直したんだね」

 こんな具合に、目的を踏まえて目標を設定し、自分で考え、行動したことを評価してあげることで、自ら考えて動くことの習慣化・定着化を図っていただきたいと思います。

 書籍『女子社員マネジメントの教科書』では、今回ご紹介した「自分で考えるための解きほぐしのレッスン」のほかにも「協働のレッスン」「客観力のレッスン」「立ち直りのレッスン」「成功体験積み上げレッスン」など、4つの意識改革レッスンを紹介しています。興味のある方はぜひご一読いただければと思います。

 次回は、「上司が何気なく発した一言」がトラブルを生む、「絶対言ってはいけない一言」について解説します。


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