こういうときに、「なんでアポの1つも取れないんだよ」とか「もっと自分で考えろ」と、上司の常識で注意をしても、効果はありません。なぜならA子さん自身としては、仕事に手を抜いていたわけではないからです。したがって、「自分は上司に言われたとおりやっているのに、なぜ悪いのか」と上司の注意を理解できないでしょう。
もしくは叱られている意味もわからないのに、口だけで「すみません」と言って済ませるかもしれません。むしろ、彼らは自分で考えて行動すること自体を知らないので、「自分は育ててもらえていない」「上司はいじわるだ」と逆に不満を抱くことになりかねません。さらに、連載第2回で説明したような「私なんていないほうがいいんだ……」的な被害妄想に陥ってしまうと、なかなか厄介です。
どうして? いつ? これは?
質問連打の「解きほぐし」作戦
こうしたゆとり社員には、「どんな仕事にもやるべき目的と目標がある」という仕事の大前提を教え、そこを軸に、仕事とは「言われた作業」だけではなく、「自ら考えて動く」ものだということを教える必要があります。
そのために、まずやっていただきたいのが、「解きほぐし」です。なぜアポイントが取れなかったのか、まずは順を追って解きほぐすように考えさせるのです。
「どうしてアポが取れなかったの?」
「来週は海外出張があるみたいです」
「いつ帰ってくるって?」
「再来週の月曜には戻るそうです」
「じゃあ再来週なら打ち合わせができるのかな?」
「わかりません……」
「再来週の予定は聞いてみた?」
「……いいえ、聞いていませんでした」
上司に言われたとおりやったつもりでも、こうして解きほぐしていくと、今回の仕事の目的=アポイントを取ること、が見えてきて、自分がやるべきことが少しずつわかってきます。