(3)「やってみよう」を「やってみる」の大切さを伝えます。

“MORITA”は「純な心」で行動することを促します。「やってみよう」を自分の純な心として認めることは、今のままの自分を受容することです。それを「やっても無駄」と妨げないで「やってみる」に素直につなげる体験、それを積むことで、他人をもあるがままに受入れながら「今の自分のままやっていればよい」という気持ちが心に定着していきます。

(4)心には流動性があります。悩む人は心がひとところに留まっています。

 そこで、「やってみよう」を「やってみる」、気づいてみたら心が動いていた、という体験がとても重要になります。例に挙げたAさんもBさんも、はじめは便意に心がとらわれていましたが、「目的本位」の行動により心が動いて、あるがままの自分を受容する心に流れていきました。

 以上が、私の持ち味を生かした“MORITA”、ということになります。患者さんの自分らしい生き方や健康法を支えられるように、これからもいろいろな面で“MORITA”を生かしていきたいと思います。

※本稿は実際の事例・症例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため相談者の個人名は伏せており、人物像や状況の変更などを施しています。

◎伊藤克人(いとう・かつひと)
東急病院健康管理センター所長兼、東急病院診療内科医長。1980年3月筑波大学医学専門学群卒業後、東京大学心療内科に入局。1986年10月東京急行電鉄(株)東急病院に勤務、2020年3月より現職。東急をはじめとする各社の産業医として働く人のメンタルヘルス対策、内科系心療内科医として東急病院での診療活動を行っている。専門は心身医学、産業医学、森田療法。関連資格は、日本森田療法学会認定医、日本心身医学会内科専門医、日本心療内科学会上級登録医、労働衛生コンサルタント。学会等の資格は、日本森田療法学会常任理事、日本心療内科学会評議員、日本心身医学会代議員、日本産業ストレス学会理事、日本うつ病学会評議員、国土交通省「動力車操縦者運転免許制度検討会」委員、国土交通省「動力車操縦者の身体検査に係る調査検討委員会」委員、元国土交通省交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会委員。
著書・監修書に、「過敏性腸症候群の治し方がわかる本」(監修・主婦と生活社)、「森田療法で読むパニック障害その理解と治し方」(共著 白揚社)、「森田療法で読むうつ その理解と治し方」(共著 白揚社)。

◎次回予告

 第6回(最終回)では、慢性アトピー性皮膚炎に対する森田療法的アプローチの効果を、細谷皮フ科 細谷律子院長に伺います。
(※筆者注:第4回の「次回予告」の際に、第5回は細谷皮フ科 細谷律子院長と予告しましたが、順番が前後しました)