しかし今後も、雇用維持の政策が上手く機能しない場合には、リーマンショック時よりも失業者が一層増えやすくなるはずである。そこで、そうしたケースも想定して、最後にリスクシナリオを示しておきたい。

政策が十分に機能しない場合
失業者300万人超、失業率7%近くに

 政府による雇用維持の政策、あるいは企業の経営維持を図る給付金、家賃支援策などが十分に機能しない場合には、中小零細企業で倒産、廃業あるいは雇用者の解雇の動きがより広範囲に広がることになるだろう。

 そうしたケースで、景気悪化に対する就業者の減少の弾性値が、リーマンショック時の0.34の2割増し、つまり0.41になると仮定しよう。その場合、失業者増加数は318万人と300万人を上回り、失業率はピークで6.9%と未曽有の7%水準に近付く計算となる。

 それでも、失業率は4月の米国の半分以下ではあるが、戦後の最悪水準を大幅に上回る失業率となれば、日本においても社会的な不安が高まる事態となる可能性は否定できなくなる。

 こうしたリスクシナリオが現実のものとならないようにするには、政府は財源をしっかりと確保した上で、追加の企業、個人向け支援を迅速に講じていく必要がある。

 企業・個人向けの支援策は、先般成立した補正予算では実質11兆円程度の規模になったと推測されるが、さらに25兆円規模の追加支援が必要となる計算だ。日本の大きな特性でもある社会の安定が、コロナショック下でも果たして維持できるかどうか。それに向けた政府の取り組みは、いまだ序盤戦である。

(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英)