金融危機はいつも違った顔で現れると言われる。だから、危機を防ぐことは難しい(写真はイメージです) Photo:PIXTA

金融危機への対応が
次の危機を生むという連鎖

 株式市場はひと頃と比べると安定を取り戻したように見えるが、これで金融市場の危機が去ったと考えるのは、あまりにも楽観的過ぎるだろう。

 市場の安定回復のため、各中央銀行は異例の積極策を相次いで実施した。比較的迅速な対応が可能だったのは、2008年のリーマンショック(グローバル金融危機)時の経験を、各中央銀行が記憶していたからだ。今までの対応は、当時の政策を復元したかのようでもある。

 しかし、今後の各中央銀行の対応は、再び未知の領域に入り、手探り状態となっていくのではないか。今回の金融リスクは、リーマンショック時の金融危機とは全く異なる性格のものだからだ。

「金融危機はいつも違った顔で現れる」と言われる。それがゆえに、危機を防ぐことは難しい。同じ危機が再び起こらないように万全の体制を整えていると、危機は別の場所から噴き出す。また、危機防止策が新たな危機の発生を助けてしまうこともよくあることだ。

 リーマンショックの際の危機の源泉は、価格上昇が行き過ぎた米国の不動産市場にあった。それを支えた銀行の融資は証券化され、そのリスクは銀行のバランスシートから一度は切り離されたものの、銀行はその証券化商品への投資を拡大させる形で、最終的には大きなリスクを抱えたのである。

 そのため、不動産市況の変調を映した証券化商品の価格下落が、大手銀行に深刻な不良債権問題を生じさせ、経営破綻の淵にまで追い詰めることとなった。