新型コロナウイルスが
すべてを変えた
元号が令和に変わって1年が過ぎた。当初は、昭和が遠くなったという郷愁、21世紀が始まって20年近く経ったという感慨、テクノロジーによって世界がフラット化したという見立てが我々を取り囲んだが、ここ半年弱の間に、新型コロナウィルスの感染拡大による変化がすべてを吹き飛ばしてしまった。
今、私たちが目の当たりにしている政治、経済、社会の状況を考えると、昭和も、平成も、20世紀も、21世紀の最初20年も、リーマンショックも、全てひとまとめに「コロナ以前」と呼びたくなるくらい隔世の感を覚えざるを得ない。
ほんの数ヵ月前まで自由に移動していた私たちにとって、今は全く別の世界に感じるかもしれない。IATA(国際航空運送協会)によると、2020年4月までの国際線の運行は、前年比-80%となり、第二四半期(4-6月)はさらに悪化すると予想されている。日本では、国内屈指のドル箱路線である東海道新幹線の乗車率が15%となった。日本航空は第1四半期の赤字が200億円に達すると報道されている。
100年前のスペイン風邪を取り上げて、「100年ぶり」に世界が直面するパンデミックという文脈で語られることもある。ほぼ世界中の人たちが、自宅待機を余儀なくされている異常事態だ。先進国も、途上国も、北も南も、国や地域の区別なく「ソーシャル・ディスタンシング」のために移動を控え、接触を控え、狭い自宅(狭くない人もいるかもしれないが)に籠もる生活を送っている。
今まで当たり前だと思っていた前提条件が通用しなくなり、全く新しい常識=ニューノーマルに適応しなければならない、という議論を最近よく目にするようになってきた。