両者の主張を比較すると、実は争点は少なかった。火種となったのは、中山雅之前社長の処遇である(図参照)。

 今回賛同を得た会社案では、旧経営陣の一人である中山氏が、営業赤字のおとがめもなく副社長として残ることになる。

新型コロナで大幅減収、ささやかれる「レナウンの次」

「株主総会対策に数千万円の費用を使った。中山が辞めてくれれば済んだ話なのに」

 ある三陽の社員はこう嘆く。内部から不満が出るのも無理はない。会社の本業は、新型コロナの影響でぼろぼろだからだ。

 三陽の主力販路である百貨店や直営の路面店が時短営業あるいは休業し、売り上げが激減。結果、売上高の前年同月比は3月が56%、4月は19%にまで落ち込んだ。「シミュレーションでは5月は前年比25%としていたが、それよりは高い数字になると思う」(大江氏)というが、非常に悪い数字であることに変わりはない。