戦力として、魅力的な人材として障がい者を採用する企業
障がい者雇用の促進に関する法律が制定されてから約60年。民間企業で働く障がい者は56万人を超え、雇用者数・実雇用率ともに過去最高を更新している(2019年12月現在・厚生労働省調べ)。2018年には雇用義務の対象として「精神障がい者」も加わった。
いま、企業は障がい者の雇用にとても積極的だ。ハローワークを通じた就職件数は1年間で10万件を超え(2018年度・厚生労働省調査)、10年連続で増加している。障がい者雇用に特化した人材紹介会社なども躍進していて、誰もが知るような大手企業も障がい者を採用するための求人情報を出している。
求人情報メディア・人材紹介サービスを展開している「エン・ジャパン株式会社」が、2019年に民間企業352社を対象に実施したアンケートでも、障がい者を雇用している企業は全体の70%を超える結果となった。
「アンケート結果では、障がい者を雇用した背景として『法定雇用率の達成』と『社会的責任を果たすため』という声が多くを占めました。一方で、『障がいに関係なく、能力や雇用条件で採用している』企業も多くあります」(エン・ジャパン株式会社「人事のミカタ」手塚伸弥編集長)
このアンケートの結果でも明らかになったように「障がい者=マイノリティ・弱者」という考えではなく、「会社に貢献できる魅力的な人材」として障がい者を採用する企業が増えている。
しかし、「設備・安全面の配慮ができない」「適した業務が用意できない」などの理由で、障がい者雇用を諦めてしまう中小企業もあり、また一方で、すでにパターン化している業務を割り振る(切り出す)ことで、障がい者雇用に成功している企業もあるのが実状だ。