障がい者とともに多様な働き方を実現していくことが肝要

 特にIT技術の発達は障がい者就労を後押しし、通勤が難しい障がい者のために「サテライトオフィス(企業の本社から離れた場所に設置されたオフィス)」勤務などのテレワークを採用する企業もある。テレワークに関しては、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、このまま普及が進んでいけば、既存社員の柔軟な働き方も実現できるため、企業側(雇用側)にもメリットがあると考えられている。障がい者が働きやすい会社づくりは、誰もが働きやすい職場環境の創出にもなるのだ。

 かつて、企業にとって障がい者を雇用することは「社会的責任を果たす」という側面が強かった。しかし、これからは、障がい者とともに多様な働き方を実現していくことが、企業の成長力につながっていく。そして、障がい者と健常者が配慮し合い、お互いを認め合う組織や企業がこれからますます増えれば、日本のダイバーシティ社会はいっそう価値あるものになるだろう。

※本稿は、インクルージョン&ダイバーシティマガジン「オリイジン2020」特集《ダイバーシティ社会のみんなの働き方》内のテキストを転載(一部加筆修正)したものです。