しかし、フタを開けるとそこまで酷いことにはならなかった。観光庁の『過去に発生した海外と日本国内の観光分野へ多大な影響を与えた災害の類型化および その災害からの各国の観光分野における復興プロセス調査』という報告書内の記述を引用しよう。

タイの「奇跡」から考える
日本の観光業が急復活する可能性

 《津波後は、ヨーロッハ等の観光客の戻りは早かった(津波から半年で客の入りが元に戻った)》

 《ドイツ人やスウェーデン人等は数千人が死亡しているにもかかわらず戻りが早かった》

 結果、2006年のプーケットへの観光客数は450万人と、2005年から79.4%も増加した。その後も、タイは洪水や軍事クーデターなどが発生して、そのたびに観光業が大打撃を受けたが、UNWTOの分析通りに順調に成長をしてきた。

 2018年の国際観光客到着数は3800万人で、世界9位。観光収入にいたってはアメリカ、スペイン、フランスについで世界4位。名実ともに「アジアの観光立国」としてタイ経済を牽引している。

 製造業などの場合、人件費や競争力で負けたり、貿易摩擦が起きたりといった要因でなかなか回復できない場合があるが、観光はシンプルなサービス業であるがゆえに、観光資源に恵まれていれば客は必ず戻ってくるので、産業としての立ち直りが早いのである。

 年間3188万人(2019年)もの外国人観光客がやってくる日本が、文化や自然など多種多様な観光資源に恵まれているということに、異論を挟む者はいないはずだ。それはつまり、日本の観光業もほどなく回復をするということだ。

 という話をすると、「コロナはこれまでの危機とワケが違う!国と国の間の往来も制限されるので、観光業への影響は長期化するに違いない」と、この世の終わりのように叫ぶ人たちがいるが、どんな「未曾有の危機」であったとしても、観光は間違いなく「復活」する。

 旅をしたい。遠くへ行きたい。美しい景色を見たい。異なる文化に触れてみたい――。これらは人類の普遍的な欲求であって、決して抑えることができないからだ。