世界はほぼ比類ない混乱状態に置かれているが、金融市場は例外で、のんきにもそうした状態に気づいていないように見える。S&P500種指数は1日の0.4%上昇に続き、2日には0.8%上伸した。これで、10日間で5%近く上昇したことになる。筋が通っていないように思えるが、そうではない。市場は他の全てを除く一連の政策展開を気にしているのだ。それは、政府の救済策が、少なくとも最悪のシナリオを避ける程度には、機能しているように見える事実だ。米国は半世紀の間見られなかった規模の抗議活動に揺れており、米政府と中国政府は香港を巡ってにらみ合っている。いずれも新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の猛威のさなかの出来事だ。だが市場の最もリスキーな一角でさえ、混乱に陥った水準からは刻々と離れつつある。安全な米国債と、エネルギー・金属・鉱業を除く米国の高利回り債のスプレッドは5.5ポイント前後に縮小している。3月下旬には9.7ポイントまで達していた。
米株の虚無的な上昇、その意味は
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