中家氏は自民・二階氏に
中川氏は官邸にパイプを持つ

 中家、中川の両氏が持つ農協幹部らへのアピールポイントは定年延長の免罪符だけではない。中央政界への影響力も両者に共通した「強み」だ。

 中家氏は自民党の二階俊博幹事長の選挙区、和歌山県田辺市の出身で、地元農協の組合長として二階氏を支えてきた。

 一方の中川氏は安倍政権にパイプを持つ。イギリスや中国などで毎年催してきた京野菜を振る舞う晩餐会に、飯島勲内閣官房参与や西川公也内閣官房参与(元農相)を招待するなど、じっこんの間柄を築いている。

 実は、JAグループの次期会長の任期中、農協にとって重要な政治案件がある。政府が21年3月までに、非農家の組合員(准組合員)による事業利用の制限(准組合員規制)を行うかを判断するのだ。准組合員である地域住民に住宅ローンや共済を提供し繁栄してきたJAグループにとって准組合員規制は死活問題だ。

 ちなみに本質的な意味では、政治力を使って安倍政権から規制強化を見逃してもらえたとしても、全国約1000万人の組合員の過半を非農家が占めるなど「農業協同組合」から乖離した実態は変わらない。准組合員の問題は農協自らが解決策を考えるべきテーマである。