「5月の雇用統計は歓迎すべきサプライズだった。とても喜ばしい」「だが、回復への道のりは長いことに、われわれは正直にならねばならないと、私は思っている」。6月10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長はそう述べた。
この日まで株式市場ではユーフォリア(酔狂)が広がり、奇妙な株価高騰が続いていた。それ故この日はパウエル氏がどのように市場の期待に働き掛けるのか注目されたが、彼は正攻法を選んだ。厳しい景況感を示し、同時にFOMCの経済予測(2022年まで)の範囲内ではゼロ金利政策解除は想定されていないと説明した。