在宅勤務のメンタル危機#3
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在宅勤務では、これまで分離されていた仕事と家事と育児がごちゃ混ぜになる。仕事の環境が整っていない自宅で、子供を育てながら夫婦二人での在宅勤務は、家庭に深刻なトラブルを生みかねない。『在宅勤務のメンタル危機』(全6回)の#3では、在宅勤務に伴う家族の修羅場を避けるための対処法を考えてみる。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

在宅勤務と育児家事の“強制両立”で
追い詰められる家族のメンタル

「コーちゃん!! またおしっこ漏らしたの?! おにいちゃんパンツのときはママにトイレ教えてって言ったでしょ! あー、ちょっとどこ行くの!」

「おい、静かにしてくれよ、今ウェブ会議中なんだよ」

「…何その言い方、私だって仕事があるのに康太の世話してんのよ! あー、課長から電話、ちょっと康太見ててよパパ」

「だから俺は会議って言ってるじゃん。お姉ちゃん、康太トイレに連れてってあげて」

「パパ! そんなことより、そろそろ私の部屋返してよ!宿題しなきゃならないのに!」

「ママ―! コーちゃん、ウンチした!」

 緊急事態宣言後1カ月。全国の夫婦共働きで在宅勤務かつ学校や保育園が休みになった子供が常に自宅にいる家庭では、程度の差こそあれ日夜このような光景が繰り広げられている。これが5月末まで続く。まさしく、修羅場だ。

 これまで、家庭を含みどこでも自由な場所で働く「リモートワーク」は会社が働き方改革の一環で積極的に取り入れるべき“良いこと”とされてきた。だが、それはあくまでも、家庭生活と仕事をある程度分離できる環境があり、保育園や学校など育児や教育を支援してくれる外部のサービスが稼働している前提の話だ。冒頭のようなカオス状態の在宅勤務で仕事などまともにできるわけがない。

 困難に面しているのは共働きだけではない。夫が働き妻は専業主婦の家庭でも、「家族が四六時中同じ家の中で顔を突き合わせている」という状況が、良いとはいえないケースも多いのだ。

「もう限界です…」。睡眠導入剤を求めて都内のあるクリニックを受診した女性は息も絶え絶えになりながらこう訴えた。「通勤はなくなったし朝昼晩の3食を自宅で食べられる。仕事も普通に家できるし問題ないな」と喜ぶ夫は、一日中ダイニングテーブルを占拠して仕事をしているという。学校が休校になった子供はいつもべったり付きまとってくる。3人家族3食分の食事の支度や、家事は当たり前のように全て自分に降ってくる。一人で息をつく余裕もまったくなく、不眠に陥ってしまったのだという。