岡部信彦氏Photo:Jun.Takai/photocompany

第1波が終息しつつある新型コロナウイルス。6月22日発売の「週刊ダイヤモンド」の特集「医者&医学部 最新序列」では、コロナ禍を経た医療現場の状況を詳報している。感染症専門医や公衆衛生の専門家が抱える課題や、日本の新型コロナ対策についての課題を、政府専門家会議委員の岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長に聞いた。前編に続く2回目をお送りする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

日本の感染症対策で史上初めて使われた西浦教授の「数理モデル」

――専門家会議での議論はどのような形で進められていたのでしょうか。クラスター班の西浦博・北海道大学教授の発言がしばしば話題になりました。

 西浦さんは専門家会議の委員ではないですが、委員長が必要と判断して第1回目会議から来てもらっている、ほぼレギュラーのメンバーです。クラスターチームには西浦さんの教室の研究者が参加し実務作業を担当しています。彼の数理モデルはいろんな批判があったけど、少なくとも日本の感染症対策で数理モデルを見ながら対策をやったのは、今回が歴史的に見ても初めてでした。

 一方で、専門家会議には防衛医科大学校の川名(明彦教授)さんをはじめ臨床の先生も常時参加して、異なる分野でコラボレーションをしてきました。現在のメンバーの意見は一枚岩ではないです。土日を含み週何回も行ってきた自主的な勉強会では、それこそ怒鳴り合いの白熱した議論になりました。それらの議論を踏まえて、尾身(茂・地域医療機能推進機構理事長)さんと脇田(隆字・国立感染症研究所所長)さんが結論を出す。出来上がったものはコンセンサスを経ている内容です。

――今後専門家会議に必要なものは。

 途中から諮問委員会には入っていただいているのですが、経済の専門家です。

 この新型コロナウイルスによる病気は、医学的な意味での病のみならず、社会・経済全体に対する病になってしまいました。医学的なことは、われわれも提言をしてバランスを取りながらある決定をしなければならない。しかし、トータルの意味での病に対処し、現在の状態を修復していくには、経済的なことに関しては素人の医師の力では何もできない。いろんな分野の人が関わっていく必要があります。

 この病により社会や経済が壊れているのを治していくのは、医師であるわれわれの手から離れた専門家の人がやるべき分野です。