新型コロナウイルス感染防止のため、急きょテレワークを導入した多くの企業では、メリットを実感する一方で、さまざまな問題に直面しています。今後、テレワークをうまく組織に取り入れるには、こうした問題に1日も早く取り組むことが大切です。これまで数多くの企業における組織の問題に向き合ってきた、リクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタントの武藤久美子さんが、テレワークにまつわる「今・目下」と「これから」のお悩みにお答えしていきます。今回取り上げるのは、「一般社員の方から寄せられた『今』のお悩み」です。
【一般社員のお悩み(1)】
上司や先輩に相談しづらくなりました
Q.新卒2年目です。普段、上司や先輩に細かく資料の確認をしてもらいながら仕事を進めています。テレワークでは上司や先輩がそばにいないので、ちょっとした相談をしづらくなりました。どうしたらいいでしょうか。
若手社員の不安や心配が伝わってきます。すぐに何とかしたい状況、まさに『今』の悩みですね。こちらは、上司や先輩側の状況について知ることが回答につながると思います。
上司や先輩は、部下や後輩がきちんと業務を遂行できているか、心身健やかに働けているかを気にかけています。ですから、これまで相談しながら仕事を進めていたなら、ためらわずに相談してください。その方が上司や先輩は安心します。急に何の連絡もなくなったら、そちらの方が心配されるでしょう。
その一方で、当社が行った『テレワーク実態調査』(2020年4月)によると、テレワークによって「人から話しかけられて仕事を中断する頻度」が「減る・やや減る」が51.9%を占め、「増える、やや増える」20.1%と比べて多くなっています。オフィスにいるときには、上司の様子がわかるので、適宜「ちょっといいですか?」というコミュニケーションを取れました。テレワークになり、若手社員から上司の様子が見えないので、仕事を中断させてしまうことをより気遣うようになったのかもしれません。
そこで提案したいのが、相談の前に相手の都合の良い時間を尋ねることです。テレワークを活用するポイントの一つは、「自分の時間も相手の時間も大切にすること」です。上司や先輩に相談がある際は、事前にチャットで「本日、**の件を報告・相談したいのですが、いつでしたら15分くらいお時間をもらえますか」と尋ねてはいかがでしょうか。そうすれば、上司や先輩から「今からでも大丈夫」「では○時からはどうですか?」と回答が来るはずです。これで相手の時間も大切にしながら、自分の業務遂行もスムーズに、時間を大切にしながら進めることができるようになります。
そして、このように業務遂行する中で、自分の経験値が上がってきていると感じているなら、テレワークの環境を細かいプロセスまで上司や先輩に事前に相談しなくても業務遂行ができる機会と捉えてみてはいかがでしょうか。
1960年代にハックマン・オルダムが提唱した「職務特性モデル」によると、仕事のやり方に裁量が与えられて工夫の余地があるなど、自律的に仕事ができるようになると、仕事への責任感が生まれて成長ややりがい、満足感が得られるようになるそうです。テレワークが仕事の進め方をさらに磨く機会となれば、すてきですね。