批判回避のため
反日姿勢を強める文大統領

 今後、文氏は世論の批判が自らに向かわないよう反日姿勢を一段と強めるだろう。文政権が軍艦島を世界遺産から取り消すよう検討を求めたのはその一つだ。また、韓国の与党(共に民主党)では100人ほどの議員がわが国に対して史実の歪曲を認め、配慮を示すよう求める決議案を国会に提出した。元徴用工への賠償問題に関しても、韓国はわが国企業の資産売却に向けた手続きを進めている。

 そうした文政権の主張を見ていると、韓国は国際社会の意思決定が多数決に基づくという基本的なルールを無視しているといわざるを得ない。ルールを無視し、身勝手な主張を続ける文政権が、国際世論の支持を得ることは容易ではないだろう。世界遺産への登録は、国際記念物遺跡会議などの調査結果をもとに、21カ国からなる世界遺産委員会が審議を行う。世界遺産委員会の結論がまとまらない場合は、多数決で登録の可否が決められる。それに加えて、軍艦島などの世界遺産登録に関して当時の韓国政府は同意した。

 国の意思決定を自らの事情で一方的に反故にしようとする文大統領と、わが国が対話することはできない。わが国が何を言ったとしても、韓国はさらに強硬にわが国を批判するだろう。わが国は韓国にエネルギーを使うべきではない。

 それよりも重要なことは、米国の政治不安定感が高まり、米中の対立が先鋭化している中で、わが国が自力で極東地域の安定を目指さなければならないことだ。米国のトランプ大統領は再選のことばかりに目が向かっている。わが国にとって、米国との安全保障同盟は重要だが、米国の姿勢がどうなるかは読みづらく、それ以外の方策も準備しなければならない。

 その一つとして、在独米軍の規模縮小を不安視する欧州各国との連携強化は大切だ。欧州各国はロシアの脅威や対中関係に悩んでいる。わが国はEU各国との政治・経済面での関係を強め、昨年2月に発効した日・EU経済連携協定のさらなる深化を目指すべきだ。そうした取り組みが進めば、世界のリーダー(覇権国)である米国はわが国の要請に耳を傾けざるを得なくなるだろう。

 その一方で、わが国は韓国のことは放っておけばよい。韓国から何を言われようとわが国は感情的に反応してはならず、丁寧な無視を続けるしかない。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)